メッセージ

はじめに

「ダイレクト・レスポンス・マーケティング」。略してDRM。

この方法に出会った時、私は胸が高鳴りました。

こんな素晴らしい方法があったんだ。この知識はきっといろいろな人の役に立つ。たくさんの人と分かち合いたい!

「よし!DRMを広めよう!!」意気揚々と営業に出かけた私はあえなく撃沈しました。

なぜ私はあっという間に撃沈してしまったのか…?その理由は、「マーケットが無かったから」です。

「マーケットが無い」ということはどんなことなのか…?それは例えるなら、江戸時代に「すき焼き」を売るようなものです。

江戸時代には牛肉を食べるという文化がありませんでした。牛肉がすき焼きのように、どんなに美味しい食べ物に姿を変えようとも、「牛肉は食べ物だ」と知っている人がいなければ欲しいと思う人はいません。

同じようなことが、DRMにもおこりました。どんなに素晴らしい方法でも、知っている人がいなかったので欲しいと思ってくれる人がいなかったのです。

なぜ効果的なマーケティング方法であっても、欲しい人がいないのか?

インターネット全盛の現代。こんなにも情報が手に入りやすい世の中であるにもかかわらず、なぜ、DRMは広がりを見せないのか…。それは3つの存在が相互に影響を与え合っていたからでした。

3つの存在とは①マーケティングを行う事業主②マーケティングに必要な制作物を作る制作業者③過度に誇張した表現を行う、うさん臭い同業者

の3者です。この3つの存在が効果的なマーケティングの広がりを妨げていたのです。

どういうことなのか?ちょっと説明させてください。マーケティングとは売り手のもとに、お客さんが来てくれるようにするための一連の活動のことです。お客さまから見つけてもらうために、売り手は様々な方法で自分の存在を知らせなくてはなりません。

売り手が自分の存在を知ってもらう方法の一つが「広告」です。実は広告には2種類のタイプがあります。「ブランド広告」と「レスポンス広告」の2つです。

ちなみに、この2つの広告で、集客や売り上げに貢献できるのはレスポンス広告の方です。

DRMというマーケティング方法を知ってから、私はたくさんの事業者の方々にお会いしました。そして、集客やセールスに関するお話をお聞きしてきました。

その結果分かったこと。それは、マーケティングを必要とする事業主の多くが、ブランド広告しか知らないという現実でした。

私よりもずっと以前からビジネスの世界に身を置いている事業主の方たちが、ブランド広告しか知らないという事実。その頃の私はとても不思議でした。これは一体なぜなのでしょうか?

その理由は、広告を作る制作会社にありました。

広告の制作会社は、多くの場合、広告代理店です。もしかしたら、あなたは広告代理店の仕事は、広告の制作依頼者に利益をもたらすこととお考えかもしれませんね?

残念。違います。

実は広告代理店というのは、広告を掲載する枠を売っている会社です。「広告枠」こそが、彼らの商品です。

広告枠というのは、媒体ごとの広告を掲載するスペースのことです。広告代理店は、その広告スペースを売っているのです。

例えば新聞の広告枠を○○万円で売る…雑誌の裏表紙の広告枠を△△△万円で売る…といった具合です。

ただし、広告枠を販売する利益率は、さほど高くはありません。

ですから、広告主に、「広告の制作も一緒に引き受けますよ」と提案し、デザインや広告文などのクリエイティブの制作も請け負うことで利益を得ているのです。その際、クリエイティブとして制作されるのがブランド広告です。

率直に言ってしまえば、広告代理店などの制作会社は、広告枠を売ることによって、自社の売上げをあげることが生業なのです。

注意!広告制作会社は広告主の売上げを上げることが仕事ではありません。

集客や売り上げにつながる広告方法、「レスポンス広告」を作るには、大変な手間がかかります。広告を制作する側からすれば、比較的制作に手間がかからないブランド広告を受注したいのが本音かと思われます。

また、レスポンス広告は、(これは本来レスポンス広告の強みなのですが)広告の結果が数字でわかります。そのため効果がない広告であったと分かれば、広告を打ち切られてしまう可能性もあります。

ですから、広告制作会社がレスポンス広告の存在を、広告主に対し積極的に伝えることは、残念ながらあまり期待できないのが現状です。

こうしたことから広告主である事業者が、効果的なマーケティング方法があることを知るチャンスが減ってしまうのです。

そして、この事態をさらに悪化させているのが、極端に煽り立てたプロモーションを行う、私たちの同業者の存在です。

あなたも、もしかしたらインターネットなどで、儲け話などの情報商材を売る広告を見かけたことがあるかもしれませんね。

何やらいかにもうさん臭い…といった印象の広告が見受けられます。

うさん臭い印象は否めませんが、私たちの同業者が行っている広告やマーケティングの方法そのものに問題はありません。(表現上の問題で法律に抵触している可能性はありますが。)効果を発揮しているからこそ、今でも廃れることなく時々見かけたりするのでしょう。

では、一体、何が問題なのか?それは煽りまくった広告表現と商品やサービスに難があることです。

商品に問題があるので、マーケティングがとても研究されており、売れてしまっている…。極端に煽られた広告表現は高い期待を抱かせるけれども、難のある商品を使っても効果は得られない。そこで、購入した人は、「自分は騙されたのではないか」と不安になる…。

その結果、レスポンス広告の手法そのものが、うさん臭く怪しいと思われてしまうのです。マーケティングの世界には、こんな言葉があります。「最悪のマーケティングは、最悪の商品を最高のマーケティングで売ることだ。」確かにこれでは、自分で自分の首を絞めるようなものですよね。

こうした経緯から、レスポンス広告への印象が悪くなり、効果的なマーケティング方法であると知ったところで、広告主としては「採用したくない」との心情に陥る状況が生まれるのです。それは、当然の意見であると私たちにも理解できます。

ですがダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)は、100年も前に確立された歴史ある広告手法です。DRM生誕の地、アメリカでは356業種で効果が実証されています。この数字はほとんどの業種といっても過言ではありません。

もちろん日本でもたくさんの実績があります。

いくら広告費をかけて、いくら集客でき、いくら売り上げがあがったのか…その効果を数字で測ることもできます。

効果が数字でわかるので、もしも効果が得られなければ、その広告を停止することもできます。改善し、もう一度出稿することで、効果が得られるまでテストを続けることもできます。

ですから私たちは、私たちが広めたいレスポンス広告を他の広告とは一線を画すものとして、「科学的な広告」と再定義しました。

仮説→実験→検証→改善のプロセスを、望む結果が出るまで繰り返す工程が、科学と共通しているからです。

正直に言えば、科学的なマーケティング方法であるとはいえ、必ず成功するという保証はありません。しかし、広告をかける前に、少額で広告をテストし、効果があると実証されてから、大きく広告を出稿することができるので、失敗のリスクは最小限に抑えることができます。

私たちの目的。それは科学的で信頼感のあるマーケティング方法を広めること。

良い商品を作ろう、お客さまに喜んでもらえるサービスを提供しようと、努力している誠実な人が報われるようなマーケットを作りたい。そして、良い商品がしっかり流通し、必要としている人の手に届くようにしたい。

そんな未来を実現するために、このレポートを書きました。

こうした情報が必要としておられる方に、即、役立てていただけるよう、率直かつ単刀直入な表現に努め、実用的なものとなるよう心掛けました。

このレポートが、マーケティングやセールス、集客などでお困りの方の解決の糸口となりますよう願っております。

一章 日本が直面している経済環境の厳しい現実

高度経済成長期はもう帰ってこない。

そう認めなければならない時期が残念ながら、とっくにきているようです。

古き良き時代と、一体どこが変わってしまったのか…まずは、その点を明確にするところから問題点を探してみましょう。

現代の経済環境の「モノが売れない」3つの問題点

古き良き時代との大きな違いは

①モノがあふれていること
②情報が氾濫していること
③人口が減少していくこと

この3つです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①モノがあふれていること

近代マーケティングの父、フィリップ・コトラーはニーズとウォンツを次のように定義しました。

「ニーズとは、人間が生活上必要な、ある充足状況が奪われている状態(欠乏状態)のこと。」「ウォンツとは、文化や個人の人格を通して具体化されたニーズそのもののこと。」コトラーの定義によれば、ニーズは生きるために必要なものであり、ウォンツは、ニーズを満たすために特定のモノが欲しいという欲望のことを指している、と捉えて良さそうです。

もう少しシンプルにするならば、ニーズとは「必要なもの」、ウォンツとは「ほしい物」ということです。

戦後の高度成長期は、ニーズが満たされていない環境で人々は生活していました。生きるために、とにかく必要な物資を手に入れる必要があったのです。

ところが現代はというと、生活に必要なものは既に満たされています。

ニーズを満たす商品は、広く普及することが望まれるため、大量生産され一般化しやすい特徴があります。コモディティ化と呼ばれる現象です。

コモディティ化した商品は、消費者が自ら進んで欲しがるものではありません。必要に迫られて仕方なく買っているに過ぎないからです。コモディティ商品の代表例は、何の変哲もないトイレットペーパーや、ラップ、ビニール袋のようなものです。

こうしたコモディティ商品は、消費者にとって「安ければ安いほど良いもの」と考えられてしまいます。商品がコモディティ化してしまうと、その市場は価格競争が激しくなっていきます。

コモディティ商品の市場では、資本力がトップの企業が頂点に君臨し、薄利多売によって利益を得ることができます。資本力が下位の企業は価格競争では分が悪く、ギリギリの経営を強いられてしまいます。

②情報が氾濫していること

資本力で不利な立場の企業は、価格競争を避けるために、消費者が「欲しい」と思うような商品やサービスを生み出すように努力しました。ウォンツを意識させる商品やサービスです。

消費者のウォンツを刺激するために、商品に付加価値をつけました。

付加価値をつけたことで商品やサービスが複雑化しました。それに伴い、消費者に付加価値の良さを伝える説明が必要となりました。

自社の商品やサービスが利用者に提供できる結果を伝え、競合の商品と差別化するために、売り手側から情報発信するが重要性が増したのです。

ところが現代は、情報過多の時代です。

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、書籍、メール、手紙、ファックス、ブログ、インターネットニュース、YouTube、Facebook、Twitter、LINE、Instagramなどなど…。

情報を運ぶ、メディアの種類やコミュニケーションツールが増えた結果、発信される情報の総量が増えたのです。

情報量は確かに増えたのですが、「いらない情報」も同時に増えました。「いらない情報」のことを「クラッター」と言います。

ところで、伝説の広告人のひとり、マックスウェル・サックハイムは、「広告で商品を買ってもらうには3つのNOを克服しなくてはならない」と提唱しました。

3つのNOとは、消費者の「見ない」、「信じない」、「動かない」を指します。

先ほどお話したように、現代はクラッターだらけ。そんな環境で広告メッセージは好んで見てもらえるでしょうか?

たくさんの情報があふれる中で、企業が発信するメッセージは、消費者が優先して取り入れたい情報ではありません。

ですから、広告メッセージは、消費者によってクラッターに振り分けられ、無視されてしまうのです。

つまり、マックスウェル・サックハイムの3原則の、最初のステップ「見ない」でつまずいてしまうのです。

これでは、付加価値を伝えようにも、伝えることができません。

③人口が減少していること

「日本一のマーケッター」として知られる神田昌典氏は『2020__これから10年、活躍できる人の条件』で人口問題に触れています。

著書の内容を少しだけご説明します。

ハリー・S・デント氏は人口動態に基づく経済予測で高名なアメリカの経済学者です。デント氏は、「46歳から50歳の人口増減によって景気が決まる」と結論付けています。

なぜなら、この年代は、子育てで住居費、教育費などさまざまな費用がかかり、節約したくても出費せざるを得ないからです。

だからこの年代に属する人口が多くなると景気が良くなり、少なくなると景気が悪くなる…という趣旨です。

これを受けて神田氏は、人口が多い日本の団塊ジュニア世代が、46歳から50歳に差しかかっている間の景気は底が固いと予想され、「いまは不況だから・・・・・」という考えは間違いであり、「いまはまだいいけれど、これから悪くなる」と考えるべきと述べています。

つまり、「不況である」と考えられている現在よりも、さらに人口の減少に合わせて、消費の規模が落ち込んでいくのが予想されているのです。

①~③の理由をまとめると、

現代の経済環境は、消費者のニーズが既に満たされており、商品がコモディティ化した結果、価格競争が激化している。

価格競争を避けるためには、付加価値をつけ競合との差別化をする必要が出てきた。

ところが、広告メッセージや広報活動などによって、消費者に付加価値を伝えようにも、あまりに情報があふれ返っており、目にとめてもらうことすら難しい。

さらに、今後は人口減少に伴い、消費の規模の落ち込みが予想されている。

となります。

元請け下請けシステムの終焉

モノ余り、価格競争の激化、情報の氾濫、人口減少…。

寛大で活気のあった時代が終わり、私たちは未だかつてないほどの厳しい経済環境に立っていると言えそうです。

このような「モノが売れない」状況で、耳にするのが「元請け下請けの制度の限界」です。

今までのように売り上げがあがらなくなったので、元請け側は利益を出すために、下請けに値下げを要求するようになりました。下請け側は、経営が圧迫されるので、値下げに応じるわけにはいきません。

しかし下請け側は仕事の獲得を元請けに依存しています。自分たちで集客し販売するスキルが不足しています。ですから元請け側から契約を解除されれば、仕事そのものがなくなってしまう可能性があるのです。そのため元請け側との交渉で、強気でることが難しいのです。

元請け側が有利に見えますが、そうとも言えません。下請け側との交渉が決裂すれば、新たな下請け先を探さなくてはなりません。下請け先を見つけるにも業務内容を覚えてもらうにも、相応の時間と労力が必要です。下請け先が変わることになれば、今までのような品質の製品や優れたサービスを、継続的に供給することができなくなるかもしれないのです。

近頃では、利益を優先するために、元請け側から「あえて」商品の品質を落とすよう下請けに指示するケースも存在すると聞いております。下請け側の会社は、職人気質なことが多く、誠実とは言い難い元請けの姿勢に憤りを感じ、業界全体に対して不満を抱いてしまうケースも見受けられるようになりました。

「モノが売れない」状況は、元請け側の企業も、下請け側の企業も、互いに今まで築いたパートナーシップや、市場での信頼を損ないます。これはとても残念なことです。

元請け下請けのいざこざで、商品やサービスを利用するお客さまが「とばっちり」を受けることがあるのも忘れてはなりません。

元請け下請けシステムの崩壊は、元請け側も下請け側も、今までのような営業スタイルや集客方法、セールスが機能しなくなり、利益が上がらなくなったことが原因として考えられます。

中小企業庁が発表した、2016年の1月~10月の倒産理由1位の原因は、「販売不振」が68%と圧倒的多数を占めています。

モノが売れなくなると、多くの企業が値下げをして新規客を増やそうと発想しがちです。しかし、価格で競争しようとすれば、その市場で最大の資本が必要となるのは、コモディティ化の説明で触れたとおりです。

値下げにより現実に起こることは、「忙しくても利益が上がらない」という現象です。値下げは利益が少なくなるので、たくさん数を売らなければなりません。そのため、働く時間や労力ばかりが増えて、利益はそれほど残らないということが起りやすいのです。

利益が残らなければ、商品を改善することもできなくなります。その結果、品質が落ちてしまいます。品質が落ちればより売れなくなる…そして操業停止に至る…といった事態になりやすいのです。

ですが、幸いなことに、消費者は価格のみを基準に購入を決定しているわけではないことが知られています。

価格に対して、様々な付加価値があり「お得感」があるもの、類似商品の中で自分にピッタリだと感じられるもの、この会社やこの人が好きだから買いたいと思う心理的なものなど…。価値が伝われば価格は比較の一要素に過ぎないのです。

つまり、モノが余り、価格競争が激化している状況でも、情報の氾濫をくぐり抜けて、商品の付加価値を消費者に伝えることができれば、売上げをあげることは可能なのです。

原因が分かれば、解決策は見つかります。
それがDRMです。

DRMは「リレーションシップ・マーケティング」とも言われています。顧客との関係を構築しながら、長期的に繰り返し、商品やサービスを利用してもらえる仕組みを作ります。各種情報、特別サービス、季節のあいさつ、その他を、継続してお客さまにお知らせすることで、一度では伝わらない商品やサービスの付加価値を、理解してもらうことができます。繰り返しのアプローチは、好感と信頼感をもたらします。その結果、競合との比較に晒されることなく、価格競争に巻き込まれることが回避できます。商品やサービスの価値が伝われば、継続利用や紹介にもつながりやすくなります。お客さまへのメッセージの伝達手段は、以前であれば、ファックスや郵便、ルート営業など、コストがかかるものが多かったのですが、インターネット環境が普及したため、現在は無料で行える方法もあり、効果的に併用することができるようになりました。DRMは、「モノが売れない」時代であり、インターネットが普及した今こそ、市場に適したマーケティング方法です。今まで築いてきた、下請け元請けのパートナーシップも維持できます。さらに、下請け側の企業も、集客は自社で行えるようになるので、元請けの企業に集客や販売を頼りきってしまうことがなくなります。これから、ダイレクト・レスポンス・マーケティングが、どのように現代の経済状況の中で本領を発揮するのかをご紹介します。

二章広告の唯一の目的

広告とは何なのか?

今からもう100年以上も昔、1904年のことです。アルバート・ラスカーという人物がいました。ラスカーは18歳でアメリカ国内第3位の広告会社ロード・アンド・トーマスに就職。20歳で同社を買収し、その後44年間トップとして率い、世界一の大手に育て上げた「現代広告を生んだ6人の巨人」の一人です。ラスカーは、ずっと「広告とは何なのか」「何が広告の成否を分けるのか」、を探していました。ある日ラスカーがオフィスで仕事をしていると、彼の秘書が一通のメモを持ってやってきました。メモはジョン・E・ケネディという男からのものでした。メモにはこう記されていました。「あなたが広告にについて探求していることは知っています。あなたは広告とは何かをまだ知りません。しかし、私はその答えを知っています。もしその答えを知りたいのなら、私のもとにお越しください。私は下の階でお待ちしております。」ラスカーは、はじめは、取り合うつもりはなかったものの、「会ったところで失うものは何もない」と思いなおし、ジョンと面会します。そこで広告史上、最高の「広告を表す定義」を聞かされるのです。

広告とは印刷されたセールスマン

ジョンはラスカーにたった3つの単語からなるシンプルな定義を伝えました。「SalesmanshipinPrint」“印刷されたセールスマン魂”広告にセールスマン魂があるかないか…。「売る」という目的を持った広告かどうか…。セールスマンシップこそが、広告を「利益をもたらすもの」にするのか、それとも「損失や経費に過ぎないもの」にしてしまうのかを分けるカギなのです。今日においても、これ以上の広告を表す定義は出てきてはいません。そして、このシンプルな広告の定義は現代においてもほとんど浸透していません。では一体何のために、現代の広告主たちは広告を行っているのでしょうか?

広告はブランディングのためのもの?

1980年にイギリスでマーケティング業界の上層部を対象に実施された調査で、80%もの回答者が、売ること「以外」の目的を持っていることが明らかになりました。その目的とは「ブランド構築」と呼ばれる実体のないものです。これは、宣伝や広告は、「ブランドを確立する」ためのものであり、売上げを上げるためのものではない…ということのようです。現実は、広告の真の目的から、ずいぶんと遠く離れているように見受けられます。では、「真の目的を果たせる広告」と現実に広がっている「認知を獲得するための広告」の違いとは何なのでしょうか?これをご説明いたしましょう。

利益か経費か…会社の運命を分ける2つの広告の種類

広告には2つの種類があります。ブランド広告とレスポンス広告と呼ばれるものです。ブランド広告はイメージ広告と呼ばれることもあります。一般的に「広告」「コマーシャル」と聞いて思い浮かべるのがこちらの広告のタイプです。ブランド広告の目的は、ぼんやりしたものが多く、「広告を見てもらうこと、そのものだ」という人もいれば、「ブランドイメージを高めることだ」という人もいます。ブランド広告は、消費者に良い印象を持ってもらうために行うもの…と言えそうです。ブランド広告の例をあげますと、********ブランド広告は、おもしろかったり、洗練されていたり、美しかったりと、見ることそのものが楽しいのですが、広告にいくらかけていくら売れたのかという相関関係が分からないのが残念なところです。効果が計測できないので、その広告が本当に効果的なのかを知ることができないのです。今度は、もう一つのレスポンス広告を見ていきましょう。レスポンス広告は、「ダイレクト・レスポンス広告」のことです。レスポンス広告は、広告宣伝などを通じて、それを見た人や読んだ人から、返信というかたちで、何らかの直接的な反応をもらうタイプの広告手法です。レスポンス広告の最大の魅力は、いくら広告費をかけて、いくら売れたのかを計測できること。つまり、「費用対効果」がはっきりしているということです。なぜ費用対効果が分かることが魅力なのでしょうか?その理由は感覚などの不確かなものに頼ることなく、データで判断し、科学的に検証することで、広告そのものを改善していくことができるからです。レスポンス広告はきちんと数字で計測できるので、何がよくて何が悪かったのか、その全てがデータで分かるのです。そのためテスト改善を繰り返し、費用対効果をどんどん高めていくことができるのです。少額でテストすることができるので、効果を確かめてから大きくロールアウトすることができるので、広告にかかわるリスクも低減できるのも魅力の一つです。小予算で試せるということは、たくさんの広告予算を捻出できない中小企業であっても、反応の高い広告を出すことが可能になるということです。また、『ウェブセールスライティング習得ハンドブック』ダイレクト出版の著者、寺本隆裕氏は、その著作の中で、年商300億円ぐらいから、ブランド広告とレスポンス広告を併用するとより広告の効果が高まる結果があることに触れています。このことから、レスポンス広告は大企業にとっても、中小企業にとっても、有効な広告手法と言えます。加えて300億円規模の年商に満たないうちは、レスポンス広告に力を入れるのが効果的と言えます。

着実に利益に近づけるレスポンス広告3つの特徴

「レスポンス広告ってどんなものなの?」そう思って下さったあなたのために、今からその特徴をご紹介いたしましょう。レスポンス広告の特徴は大きいものが3つあります。①文章の割合が多いこと②オファーがあること③レスポンス・デバイスがあることの3つです。それぞれ詳しくご説明いたします。①文章の割合が多いことレスポンス広告は文章が長いことが特徴的です。レスポンス広告は、広告そのものが営業マンやセールスマンの代わりをします。実はレスポンス広告の広告文はセールスマンのセールストークを文字に書きおこしたものなのです。セールスマンがお客様に商品を買っていただくには、商品の説明をしたり、効果を伝えたり、申し込み方法や取引の条件などを、過不足なく伝える必要があります。お客様に伝えなければならない最小限の事柄を、文字にした結果、長い文章が必要となったため、広告文が長くなったってしまったのです。例えばセールスマンにセールストークを「100文字以内ですべて語りつくせ」と要求しても、それは無理なことでしょう。レスポンス広告の文章が長くなってしまうのも、それと同じことなのです。レスポンス広告には100年の歴史があり、何度となく文章の長さもテストされてきましたが、9割がた長い広告文の方が返信の数が多いという結果が出ています。お客様の立場からすれば、商品の価値の説明をしっかり受けて、失敗の可能性が低い買い物をしたいのです。失敗は誰でも避けたいものなのでしょう。②オファーがあることオファーというのは取引条件のことです。私たちは何となく商品を販売していると思いがちですが、実は違います。セールスとは取引条件すべてをお客様の前に並べて、取引をするか否かをお客様に判断してもらうことなのです。通販などでは一般的になってきましたが、「10,000円以上お買い上げで送料無料」などという提案がオファーと呼ばれるものです。送料無料の他にも、何か魅力的なプレゼントがつくこともありますよね?例えば化粧品などは、サンプルがもらえたり、化粧品を収納できるポーチがもらえたりします。商品によってはクーポンを利用した割引を受けることができたりもします。長期保証なども取引条件の一つです。一個買うともう一つ無料でついてくる…なんていうのもあります。「スーツを買うとパンツがもう一つ付いてくる」などというとイメージしやすいのではないでしょうか?オファーには、ジム・コブスが考案した99通りもの種類があります。インターネットで日本郵政のホームページを検索するとすぐに閲覧することができます。そちらを参考にしながら、お客様が抵抗するのが難しい魅力的なオファーを作って下さい。③レスポンス・デバイスがあることレスポンス・デバイスというのは返信の手段のことです。広告を見た人に申し込みや問い合わせをしてもらうために用意します。フリーダイヤルの電話番号やファックス番号、返信先の住所やメールアドレス、URLなど、様々な方法があります。レスポンス・デバイスは、お客さまが簡単に注文や問い合わせをしやすくするために用意します。お客様にとっては電話が苦手だったり、インターネットでの買い物に不慣れであったりと、特定の申し込み方法にハードルを感じている方がいます。そのようなお客様も、気を楽にして申し込みをしていただけるように、レスポンス・デバイスは、広告のスペースが許す限り、複数用意することが望ましいとされます。

イメージ広告は本当にイメージの向上に繋がっているのか?

クーポンなどのオファーやレスポンス・デバイスが、広告やブランドのイメージを損なってしまうのではないかとお考えの、広告主や広告制作会社がいるようです。実際のところ、お客様はクーポンやレスポンス・デバイスについてどう思っているのでしょうか?「現代マーケティングを形成した世界の存命者50人の1人」に選ばれ、世界最大のダイレクトマーケティング・ネットワーク「オグルヴィ・アンド・メイサー・ダイレクト」の副会長兼クリエイティブディレクターを45年以上務めた経歴を持つ、ドレイトン・バードという人物がいます。ドレイトンは、著書『実践ダイレクトマーケティング』ダイレクト出版の中で、興味深い調査データを紹介しています。ある調査によって、クーポンやレスポンス・デバイスがイメージを損なうとの意見は誤りである、ということが明らかになったのです。まずクーポンについて。ダニエル・スターチ&スタッフがアメリカで行った調査によると、広告にクーポンをつけると実際に読者が増えることが分かったそうです。また、イギリスでテレラブが顧客に対して、クーポンについてどう感じているかを調べた調査では、消費者の38%、法人の48%が情報を得るために広告についての問い合わせをしたと答えたそうです。しかも、消費者の中では教育水準が高い人ほど質問をする割合が高く、法人では上級の管理職ほど問い合わせをすることが多いということが分かりました。次いでレスポンス・デバイスについて。消費者の89%、法人の94%が「企業はすべての宣伝について、顧客が直接問い合わせのできる手段を用意しておくべきである」と考えており、消費者の77%、法人の61%が、レスポンス・デバイスがあるだけで「企業に対して肯定的な印象を持つ」と考えていることが分かったそうです。さらに2006年、スカイテレビというテレビ局の行った調査によると、テレビ視聴者の93%がコマーシャルの間に、広告主のウェブサイトを表示する赤いレスポンス・ボタンを押していたことが明らかになりました。これらの調査から、人はレスポンス・デバイスが好きだという事実が分かります。そして、ほとんどの人が気づいていなかった事実として、レスポンス・デバイスは企業のイメージを向上させているということが判明しました。まとめると、クーポンやレスポンス・デバイスは以下のような役割をしてくれます。宣伝をきっかけに人々が“行動”を起す気になったかを教えてくれるそれぞれの広告が他の広告と比べてどのくらい効果があったのかを教えてくれる同じ広告文をテレビチャンネル、出版物、インターネットなどの異なる媒体に流すことで、どの媒体が効果的なのかを教えてくれる上記3つを行うと同時に、企業のイメージを向上させ、顧客の求めるものを提供する。イメージ向上が広告の目的としても、イメージ広告よりレスポンス広告の方が消費者に好まれるとデータは示しています。あなたが広告主ならば、どちらの広告を希望されますか?

結果がハッキリわかることの真の価値

こうした調査結果があるにもかかわらず、広告制作会社も広告主もイメージ広告を作り続けていることに対し、ドレイトン・バードは以下のように述べています。「正直なところ、私はエージェンシーも広告主も自信がないのだと思っている。自分たちがやったことに効果がないと判明するのが怖いのだ。しかし、知って悪いことなど何もないではないか?」効果がないと分かることは怖いことです。正直に告白すれば、考え抜いて作った広告なのに全く反応がとれなかった経験が、私にもあります。それが原因で広告主のお客さまから継続利用をストップされたこともあります。ですが、反応がないという事実が明らかになるからこそ、同じ失敗を繰り返さなくて済むようになるのではないでしょうか?レスポンス広告にあるのは、価値ある経験と結果の積み重ね、そして成功だけです。「反応がなかった」という事実が明確になること。むしろ、そこからがスタートであるといえるのではないでしょうか?

三章たったこれだけ!ダイレクト・レスポンス・マーケティングの基礎知識

今更だれにも聞けない…「マーケティングって何?」

さぁ、いよいよここから、ダイレクト・レスポンス・マーケティングについてお話していきましょう。ダイレクト・レスポンス・マーケティングはDirectResponseMarketingのそれぞれ頭文字をとってDRM(ディー・アール・エム)と呼ばれます。その名の通り、直接・反応型の・マーケティングとなるのですが、マーケティングって一体何なのでしょうか?DRMについて話を進める前に、ここでマーケティングの意味を確認してみましょう。まず、マーケティングと言えば多くの人が思い浮かべるであろう、マーケティング学会の権威。フィリップ・コトラー。コトラーは「マーケティングとは何か?」という問いに対し、次のように述べています。「顧客の価値と満足を理解し、創造し、伝え、提供することこそが、現代のマーケティングの理論と実践の本質である。」次に、マネジメントで名高いピーター・F・ドラッカーは、どのように述べているのか見てみましょう。ドラッカーは「マーケティンとは何か?」の問いに対し、以下のように述べています。「マーケティングの理想は販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。」2人の定義を合わせると、マーケティングはとは、「お客さんの欲しいものを理解し、お客さんの欲しい商品やサービスを作り、伝え、売るのをラクにすること」といったことのようです。また、ドラッカーは「販売とマーケティングは逆である」とも述べています。ですから私は、マーケティングはお客さんに「売ってください」と言わせる一連の取り組みのことであり、セールス(販売)は、お客さんに「買ってください」と言うこと、と理解しています。ダイレクト・レスポンス・マーケティングは「直接、お客さんから何らかの反応をもらい、お客さんから「それを売ってください」と言ってもらえるようにする一連の取り組み」と捉えておくと良さそうです。マーケティングとは何かが分かったところで、次なる疑問が出てきますよね。そう。「それじゃあ、マーケティングって具体的に何をやるの?」って疑問です。コトラーはマーケティングの目標は2つあるといっています。

コトラー発。マーケティングの2つの目標とは?

コトラーは、「それ(マーケティングの目標)は、優れた価値を約束することによって新しい顧客を引き付け、それとともに既存の顧客を満足させ逃がさないことである。」と述べています。これって、ものスゴク重要ですよね?コトラーは、新規のお客さまを獲得することと、既存客に満足してもらいながら、末永くお付き合いしていくことが目標だよ…と言っているのです。私自身も反省しなければならないのですが、どうしてもビジネスをしていると「新規のお客さまを獲得しなくては!」と新規客ばかりに目が行ってしまいがちです。社長さんや経営者の方など、責任ある立場の方から私たちが受けるご相談では、「新規客がほしい」とのご要望が多いです。ですが、既存のお客さまを大切にするのもマーケティングなのですね。実際、会社に利益をもたらしてくれるのは既存のお客さまのことでしょう。既存のお客さまは、一度、商品やサービスを購入してくださっている人物です。商品やサービスに興味を持ち、実際に使用してくださったお客さまです。商品やサービスに満足していただくことで、売り手は他の競合よりも信頼を得ることができています。そうしたお客さまは、次の購入にもつながりやすいお客さまなのです。「コレクター」という言葉を、あなたも耳にしたことがあるかと思います。コレクターは同じようなものをたくさん集めます。実は同じようなものを同じ人物が買い続けてしまうのは、コレクターに限ったことではありません。あなたも同じような商品ばかりを買ってしまった経験はありませんか?私は似たようなデザインの服ばかりを買ってしまい、「また同じような服を買ってきて」と、家族にからかわれることがあります。子供たちはゲームのソフトを次から次に欲しがります。このように一度購入にいたったお客さまは、繰り返しリピート購入してくれる可能性が高いのです。しかも、商品に満足してくださっていることが多いので、ご家族やご友人、お知り合いの方を紹介してくださることも珍しくありません。第三者からのお墨付きは、非常に強力な説得力を持ちます。ぜひとも既存のお客さまを大切にしていきたいですね。ダイレクト・レスポンス・マーケティングは新規のお客さまを獲得する方法も既存のお客さまを大切にしていく方法も、しっかりと仕組化されています。ここからは、その仕組み化の方法をご説明いたします。

フロントエンドとバックエンド

突然ですが、ちょっと想像してみて下さい。今、あなたはちょっぴメタボなお腹が気になっているとしましょう。検診でも「メタボ気味」との診断にとどめを刺されたあなたは、「自分と愛する家族のためにもダイエットしなくては」と決心しました。でも今までランニングも食事制限も自分一人では、続けるのが難しく挫折してしまった思い出が頭をよぎります。そこで、あなたはトレーニングジムに行ってみようと思いつきました。でも、ジム通いなど初めての経験です。「トレーニングってキツイのかな?」「どんな人がトレーナーなのかな?」「設備はどんなものがあるのかな?」「通っている人たちと仲良くなれなかったらどうしよう?」「もし、契約して自分に合わなかったら料金ムダになっちゃうなぁ。会員制だし…」などなど…。どんどん疑問や不安が浮かんできます。そんなとき、一枚のチラシがあなたの目に留まりました。“トレーニングジム会員募集中。今なら体験トレーニングが3回まで無料。契約の義務も強引な勧誘もありません。”あなたは考えました。「無料で試せるんなら、いろいろ説明されるより判断しやすそう。契約の義務も勧誘もないなら、ちょっとお試しで行ってみようかな。それから決めてもいいんだし!」その後、あなたはジムに予約を入れました…。もし、この時、見たチラシの内容が“トレーニングジム会員募集”という文言だけだったらいかがでしょうか?恐らく、「契約義務なし体験トレーニングのご案内」のチラシの時より、ジムに連絡するには勇気と覚悟が必要となるのではないでしょうか?もしかするとジムへの連絡を先延ばしにすることになったかもしれません。ここではトレーニングジムを例に挙げましたが、似たようなことは誰でも経験があることだと思います。初めて利用するレストラン、初めて利用する整体院、初めて利用する理美容室、初めて一緒にプロジェクトを行おうと検討中のビジネスパートナーなど、初めて利用する対象への不安は、多種多様な場面で登場します。そのような場面では、誰でも不安になって当然です。誰だって失敗はしたくないものです。でも、ちょっと考えてみて下さい。売り手側で、買い手側の不安を取り除いいてあげたら…、失敗のリスクを減らしてあげられたら…、売り手側で最初の購入までのハードルをできる限り下げてあげられたら…、興味のあるお客さんが「ちょっと試してみようかな?」と商品やサービスを利用してくれるチャンスが生まれると思いませんか?初めて利用するお客さまの不安を取り除くため、無料または低価格で試せるような商品やサービスのことをフロントエンド(集客商品)といいます。フロントエンドとは?フロントエンドとは集客するための商品であり、顧客を獲得するための商品です。集客をするのがフロントエンドの目的ですから、ここで利益を出そうとは考えません。フロントエンドを売ることで、できるだけたくさんの人が利用しやすいように、ハードルをグッと下げ、新たなお客さまとして、自社の顧客名簿(ハウスリスト)に名を連ねてもらうのがゴールです。フロントエンドの特徴は3つあります。①価格が安い商品であること②たくさん売れる商品であること③広告宣伝を使って売る商品であることフロントエンドはお試し商品です。試食みたいなものです。ですから、「このくらいなら自分に合わない商品だったとしても諦めがつくかな…」と検討中のお客さまに思ってもらえる価格にしなければなりません。また、たくさんの人の手に渡るように供給しやすい形態の商品が望まれます。フロントエンドは、広告宣伝を使っての販売が基本となります。世の中のたくさんの人に短期間で、商品の存在を知ってもらうために広告を利用するのです。フロントエンドは、まだ商品の良さを知らないお客さまに対してのセールスです。大量の広告がある中では、興味を持ってもらうことすら大変です。競合との比較にも晒されます。そのため、売るのが難しいのも特徴です。もう一つの商品形態としてバックエンド(利益商品)があります。バックエンドとは?バックエンドは利益を出すための商品です。フロントエンドの販売で獲得したハウスリストに対して、バックエンドを販売します。バックエンドを売ることで初めて利益が生まれます。バックエンドの特徴は2つあります。①価格が高い商品であること②広告宣伝をあまり必要としないことバックエンドはハウスリストという自社媒体を通して販売します。自社媒体の例をあげますと、メルマガ、ダイレクトメール、電話や対面販売などです。フロントエンドを購入している既存のお客さまが対象ですから、信頼関係はある程度確保されています。広く広告して販売するフロントエンドとは異なり、ハウスリストには特定の商品に興味を持っているお客さまたちが集まっています。ですから類似商品を買ってくれる可能性はとても高くなります。ハウスリスト内でのセールスであれば、競合と比較されることもありません。ですから、バックエンドはフロントエンドに比べて販売が簡単になるのです。馴染みの居酒屋、馴染みの美容室、馴染みの服屋さん、馴染みの書店、馴染みの取引先など、気軽に顔を出したり、利用したりしやすいものですよね?たった1回の利用があるかないかだけでも、心理的なハードルはグッと下がるものです。ですから、ハウスリストに対し、利益商品を一度だけ販売して「おしまい」にしてしまうのは、とても勿体ないことです。どんなビジネスであれ、一度商品を利用してくれたお客さんのリピート購入を促していくことは、利益を上げ続けるための基本的な方法です。ただし、ハウスリストに売込みばかりの連絡をしてばかりいてはいけません。「あ~。この会社からまた売り込みが来た…。もう、見る必要ないや。」と思われて、せっかくのメッセージが無視されるようになってしまいます。ですから、お客さまにとって役に立つ情報や、面白いコンテンツを定期的にお届けし、お客さまとの関係性を構築し続けながら、バックエンドを販売していくことが良好な関係を長く続けて、利益をあげるポイントなのです。

DRMを取り入れてセールスプロセスを作る方法

セールスプロセスなどというと、とても難しそうに聞こえますが、意外とシンプル。大まかに分けるとたった2つしかありません。複雑に見えるセールスプロセスも、この2つのセールスプロセスを組み合わせて作られています。その2つのセールスプロセスとは①ワンステップマーケティング②ツーステップマーケティングと呼ばれるものです。ワンステップマーケティングは、初めてその広告を見た人に、そのまま商品を販売するパターンを指します。ツーステップマーケティングは、まず、商品に興味のある人を集めて、集まったお客さん候補の人達とコミュニケーションをとりながら信頼関係を構築し、その後商品を販売するパターンを指します。商品に興味を持っているけれど、まだ購入には至っていない将来のお客さん候補の人を、見込み客(リード)といいます。そのリードを集める活動をリードジェネレーションといいます。さて。「ワンステップマーケティングとツーステップマーケティング、どちらがいいものなの?」「私の会社にはどちらの方法が合っているの?」そんな疑問を持たれたかもしれませんね。この2つの方法は優劣のあるものではありません。そして、向き不向きは、商品の価格帯、お客さんの属性、商品の種類、など、いろいろな要素によって変わってきます。化粧品などがいい例なのですが、広告で直接売ってしまうのがいいのか、それともサンプルを請求してもらって、効果を実感してもらってから、商品を購入してもらうのがいいのか。どちらが適しているのかを知るには、実際に販売方法のテストをしてみるしかありません。一言で化粧品といっても、価格帯は随分違うものです。ドラッグストアで販売しているような1,000円未満のものもありますし、デパートなどで売られている5,000円くらいの価格帯のものまで様々です。1,000円の化粧品なら、サンプルを作るコストや、サンプル配布のためのコストを考えると、そのまま販売してしまうのが良さそうな気もします。高価格帯の化粧品なら、小冊子などをプレゼントしたり、サンプルを使ってもらうなどして、こだわりのポイントや有効成分、使用感などの付加価値を伝えることで、納得して購入してもらえれば、リピート購入に繋がりそうな気がします。こんな疑問を解消できるのがDRMの良いところ。DRMの良いところはテストが可能なことです。商品に合わせたセールスプロセスの仮説を立て、実際に販売テストをし、結果を検証してみてください。仮説と検証のプロセスこそが、最適解への最短ルートです。図を入れるFE→BEリード→FA→BE

KPIにも使える3つの指標

ダイレクト・レスポンス・マーケティングを実践するには、3つの数字を明確にしておく必要があります。3つの数字とは①コスト・パー・オーダーCostPerOrder②コンバージョン・レートConversionRate③ライフ・タイム・バリューLifeTimeValueのことです。①コスト・パー・オーダーCostPerOrderコスト・パー・オーダーは、頭文字をとってCPOとも呼ばれます。1注文あたりの顧客獲得コストのことです。コスト・パー・アクション:CPA(CostPerAction)も呼び方の違いと捉えておいて問題ありません。新規のお客さまを獲得するための費用が、いくらかかるのかを求めるための数字です。顧客獲得単価なので単位は「円」です。CPAが低い方が、費用対効果が高く良いとされています。②コンバージョン・レートConversionRateコンバージョンは成約率ともいいます。「反応率」や「成約率」と呼ばれることもあります。頭文字をとって、CVやCVRと呼ばれることもあります。コンバージョンは、広告を出した総数が母数になり、その総数に対し、いくら返信があったかの数を割ったもの×100で計算されます。単位は「%」です。コンバージョン率が大きくなるほど、反応の良い広告と判断されます。たとえばダイレクトメールを1000通送って、返信が10通あったとすれば、10÷1000×100=1よって反応率は1%となります。広告を改善した結果、ダイレクトメール1000通を送った時、返信が30通になったとすると30÷1000×100=3よって反応率は3%…といった具合に使います。③ライフ・タイム・バリューLifeTimeValueライフ・タイム・バリューは顧客生涯価値のことです。一人のお客さんが一生涯にいくらの粗利をもたらしてくれるか…その平均額のことです。頭文字をとってLTVと呼ばれることもあります。バックエンドをたくさん販売すると、LTVは上がります。単位は「円」です。

3つの指標の使い方

この3つの指標を使って、どの程度まで広告費をかけても採算がとれるのかを知ることができます。LTVよりもCPOが低ければ、単純に考えて、そのビジネスは利益が出ることになります。お客さんが生涯使ってくれる金額より、顧客獲得単価が低ければ、その差額が儲けになるわけです。ならば、LTVより低いCPOになるようにすればいいかというと、そうでもありません。仮に5年間で10万円を使ってくれるお客さんを5万円で1人獲得したとしましょう。LTVは10万円、CPOは5万円です。ですから5万円が粗利になると考えられます。計算上は利益の上がるビジネスといえます。問題はCPOの回収までの期間です。もし、このお客様が1年に1万円を使ってくれたとします。そうすると、CPOの回収までに5年間かかってしまうということになります。CPOの回収に5年かかるということは、5年間の赤字に耐えなければならないということです。その間、キャッシュがもてば問題ないのですが、そこまでの資金的な体力が続かないのが実情なのではないでしょうか?ですから、実際には3か月くらいでLTVを想定するのが現実的に思われます。もちろん、資金的な体力があれば、6か月でも1年でも問題ありません。キャッシュの回り具合を考えながら、LTVの計測期間を決めていくことをおすすめします。また、整体院などは、平均3回まで通よってくれるお客さまが多いというような傾向があります。そうした傾向が分かる場合は、平均利用回数に合わせてLTVを計算するのも良さそうです。続いてCVRについてご説明しましょう。LTVからCPOに1万円かけられることが分かったとします。今までの広告のCVRは1%だったとしましょう。もし、CVRが2倍の2%になったらどうでしょう?まず、CPOが5千円になりますよね?お客さんは1人から2人に増やすことができました。つまり、顧客獲得のためのコストは半分に、粗利は2倍にすることができるようになったということを意味します。しかも、獲得したお客さまには、繰り返しバックエンドを販売することができます。バックエンドはハウスリストを利用して販売することができるので、広告費はさほどかかりません。仮にハウスリストに対し、ダイレクトメールで商品を販売していた時、今までのCVRが1%だったところを、2%、3%…と改善していけば、売上げも2倍、3倍となっていく…というワケです。CVRが上がることは、売上げに対して、もの凄いレバレッジになることがお分かりいただけたでしょうか?この3つの指標を定期的に計測していきます。定期的に計測することで、数値の変化を見つけられます。その変化が改善の合図になってくれます。計測する項目が細分化されているので、ウイークポイントが明確になりますので、改善するポイントも見つけやすくなります。CPOが下がってきたなら、広告へのアクセスが増えるように取り組む。CVRが下がってきたなら、いままでの広告とは別の広告を試す。LTVが下がってきたなら、バックエンドを開発するなど…やるべきことが一目瞭然になります。

CVRを評価する時の注意点

こうしてみると、CVRが高ければ良いように思い込んでしまいそうですが、そうではありません。CVRは商品によって変わってくる例えば、飲食店のランチと住宅の販売では、CVRの数字が大きく異なってくるのは想像しやすいと思います。商品購入までの気軽さや欲しい人の数が違うからです。同じ商品でも媒体によってCVRは変わります。一般的に紙の媒体は、記載内容の修正が難しいので、情報の受け取り手に信頼感を与えることができるようです。また、手に取っている間だけは、目の前のメッセージに集中してもらうことができます。情報の受け取り手の関心をひき続けることができれば、比較的しっかり見てもらえることもあります。インターネットやSNSなどの媒体は、情報が玉石混交なことを利用者側が理解しているところがあります。また、気になる情報へのアクセスもワンクリックで次から次へと可能です。そのため利用者の興味や注意が散漫になりやすく、メッセージから離脱しやすいので、反応率は低くなりがちです。CVRの数字に惑わされず、費用対効果で評価することレスポンス広告は、興味のある人だけを集める広告です。そのメッセージを受け取り、興味がある人だけが反応するように作られています。ですから、商品購入に対して意欲的な人が集まりやすいのが良いところです。ですが裏を返せば、場合によっては、たくさんの人を集められないという結果になることもあり得ます。そんな状況を、具体例を出してご説明いたします。住宅の完成見学会のお知らせをチラシで行ったとしましょう。折り込み広告でチラシを2万枚配布したとして、2人見学にきたとします。CVRは0.01%。このプロモーションで、チラシのクリエイティブ料金、印刷料金、新聞折り込みに出稿する料金など、合わせて40万円かかったとします。CPOは20万円。見込み客を1人獲得するのに20万円かかった計算です。完成見学会には住宅を建てることに意欲的なお客さまが来てくださいました。お客さまに商品の価値と売り手の信頼感がしっかり伝わり、一人のお客さまが契約をしてくれたとします。そうなれば、恐らく会社に入る利益はCPOを上回ることでしょう。つまり、この広告の費用対効果は良いことになります。このように、CVRはあくまで投資した広告に対し費用対効果が見合うのかで評価されることが望まれます。たくさんのお客さんを集めるために、「完成見学会に来てくれた方全員に、旅行券2万円プレゼント」などと、オファーを強くして数を集めたとしましょう。この広告を見た結果、家が欲しい人ではなく、旅行券が欲しい人が集まってしまったとしたら…?来場者はたくさん来たものの、オファーの分でプロモーション費用がかさんだうえに、成約に至らなかった…などという結果になってしまっては、CVRがよくても費用対効果は良くないと判断されるべきなのです。CVRをUPさせる方法とは?ところで、CVRはどのようにして上げればよいのでしょうか?ここで登場するのが「セールスレター」と呼ばれる、レスポンス広告の反応率を上げる効果実証済みの文章術が必要となります。では、セールスレターについてご紹介しましょう。セールスレターとは?

2019/07/16